小学校受験に向けて、「自主性」や「自立心が大事」とよく言われますよね。
確かに、自ら考えて行動する力は受験だけでなく、将来の成長にも欠かせないものです。
しかし、「素敵な小学生になるための準備をするのだから」と、いきなり手を離してしまうのは、少し違うのではないでしょうか?
今回は、自主性や自立心を育むための土台として必要な「効力感」と「肯定感」について、そしてそれをどのように日常生活で育んでいけば良いかを考えていきます。
自主性や自立心は「手を離すこと」では育たない
「自主性を育てるには、子どもにやらせてみることが大事」と言われることがありますが、それだけでは不十分です。
ただ「手を離す」だけではなく、親の適切なサポートや愛情の土台があることが大前提です。
以下の2つが、その大切な土台です。
1. 効力感(自分ならできるという感覚)
効力感とは、「自分にはできる」という自信のこと。
この感覚は、小さな成功体験を繰り返すことで育ちます。
例えば、「靴を自分で履けた」「おもちゃを片付けられた」など、日常生活の中で少しずつ「できた!」を増やしていくことが重要です。
効力感がある子どもは、自分を信じて新しいことに挑戦しやすくなります。
逆に、失敗が多く叱られる経験ばかりだと、「どうせ自分には無理」と考えてしまうこともあるため、親が小さな成功を見つけ、褒めてあげることがポイントです。
2. 肯定感(どんな自分も愛されているという感覚)
肯定感は、子どもが「どんな自分でも受け入れられている」という安心感のことです。
特に受験では、親が結果や出来にこだわるあまり、否定的な言葉を口にしてしまうこともあるかもしれません。
しかし、失敗やミスをしても「大丈夫だよ」「やってみただけでもすごいね」と声をかけることで、子どもは安心して挑戦できます。
肯定感がある子どもは、失敗を恐れず、自分のペースで物事を進められるようになります。
自主性や自立心を育む具体的な方法
それでは、この「効力感」と「肯定感」を育てるために、どのようなアプローチができるのでしょうか?いくつか具体例をご紹介します。
1. 成功体験を重ねる工夫をする
子どもが「できた!」と思える小さなステップを用意しましょう。
- ペーパー学習なら簡単な問題からスタートし、できたらしっかり褒める。
- 家庭の手伝いでも、「これをやってくれると助かるよ」と役割を与える。
「やればできる」という感覚を日常の中で積み重ねることで、子どもの自信が育ちます。
2. 親が見守り役に徹する
時には、「やってみようか?」「困ったら手伝うよ」と声をかけつつ、一歩引いて見守る姿勢も大切です。最初から正解を教えるのではなく、子ども自身が考える時間を与えましょう。
3. 挑戦の後に共感を示す
挑戦した後の結果に関わらず、「頑張ったね」「工夫したところが良かったね」と具体的な共感を伝えることで、子どもの自己肯定感が高まります。
たとえ失敗したとしても、「失敗しても次があるよ」と伝えることで、挑戦する心を育てられます。
小学校受験における自主性をどう捉えるか?
小学校受験において、自主性は「すべて自分でできること」を意味しません。
むしろ、親子で一緒に取り組む中で、子どもが「やってみたい」「頑張ってみたい」と思える環境を作ることが鍵です。
例えば、ペーパー学習を親が一緒に楽しむ工夫をしたり、「今日はどの問題から始める?」と選ばせてみたりすることで、子ども自身が主体的に取り組む姿勢をサポートできます。
最後に:親も一緒に成長する姿勢を大切に
小学校受験は親子のチーム戦です。
子どもの成長をサポートしながら、親自身も一緒に学び、成長することが求められます。
親が完璧を目指す必要はありません。
「今日はこれができたからOK」と、小さな一歩を積み重ねていく姿勢が、子どもにとっても安心感につながります。
受験を通じて大切なのは、子どもの能力を伸ばすだけでなく、親子の信頼関係を深めること。「効力感」と「肯定感」を育てながら、親子で一緒に前向きに取り組んでいきましょう。